都会で働く家庭医のつぶやき

大阪の診療所や中小病院で働く総合診療医です。少しでも多くの人に家庭医の仕事内容や考え方を知ってもらうために広報しています。大学の外にいるからこそできる研究があるをモットーに、気になったことを書いていきます。

介護につきまとう日本人の差別意識

なんとなく日々の診療で、日本の医療制度のおかしいなと感じるところを整理して文章にしていこうかなと思い、ブログを再開してみました。

第一回は介護につきまとう日本人の差別意識

日本におけるケア・ダイアモンドの再編成--介護保険は「家族主義」を変えたか (特集 ケア労働の国際比較--新しい福祉国家論からのアプローチ) http://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/19249302.pdf

日本の介護保健は、ヨーロッパ圏のアプローチを参考に高齢者の介護は社会で負担しましょうという理念のもとに作ったが、アジア圏で根強い「家族主義」とジェンダー不平等の文化に負けて、女性に押し付けられているという内容。

介護という職業は身分が低い人(≒女性)がやるもんだという、旧来の日本文化を日々働いていてヒシヒシと感じる。この差別意識がなくならない限り、日本の介護制度はうまく回らないんだろうなと思う。なんといっても、男性の看護師や介護士の少なすぎる。その異常さ多くの人は気づいてないのか?これほどあからさまな性別差別を感じる職場もないんじゃないだろうか?看護師の身分はかなり向上しているように思うけど、介護士の身分はまだまだですね…。

個人的には介護サービスの従事者の技術を評価して、インセンティブのある資格制度を作って、稼げる職業にすれば、介護産業が活発になり、世界に羽ばたける人材の育成にもつながるんじゃないかなと思っている。現実はそんなことはなくて、介護職を日本人がしたがらなければ外国人にやってもらおう!それも駄目ならITでの仕事効率化とロボットにやってもらおう!(どれも絵に書いた餅で夢物語ですが)みたいな流れになっていて悲しくなります。

世界に誇れる医療を世界に輸出するとか言ってる場合じゃなくて、世界に誇れる介護を世界に輸出することを目標にして欲しいものです。